京都大学貴重資料デジタルアーカイブ基金
-古典籍にしるされた先人の叡智を共有し、未来へ伝え継ぐために-

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京都大学が所蔵する古典籍資料を確実に保存し、研究者の利用に供することで、学術研究を支え、社会に貢献することは、京都大学図書館機構の使命の一つです。図書館機構では、古典籍にしるされた情報をより広く共有するための手段として、資料のデジタル化・公開を進めてきました。これまでに公開された資料は、教科書でおなじみの歴史資料、旅行先で手にする観光案内の図版など、みなさんの身近に使われているかもしれません。

長い年月を経て脆くなった資料は、誰もがいつでも手にすることが難しいのが実情です。しかし、デジタル化してインターネット上で見ることができれば、みなさんのご家庭でもそこにしるされた先人の叡智を知ることができるのです。とはいえ、公開するまでには、資料の傷んだ部分を修復したり、細心の注意を払いながらデジタル撮影したり、大変な手間と費用が必要になるため、まだまだ多くの貴重な資料が書庫の中で眠っています。

本基金では、京都大学が所蔵する貴重な古典籍資料のデジタル化を進め、「京都大学貴重資料デジタルアーカイブ」で公開します。公開したデジタルデータは社会の共有財産として、みなさんの創造活動に自由に使っていただくことができます。これまで守り伝えられてきた資料をデジタルデータの形で世界に発信することにより、学術研究を推進し、教育や文化の発展に寄与することが、わたしたちの願いです。

この趣旨をご理解、ご支援くださいますよう、お願い申し上げます。

これまでにご寄付いただいた方々のご芳名

京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
中井家絵図・書類から京都御所関係資料
谷村文庫

基金の使途

いただいたご寄付は、下記の使途に有効活用させていただきます。

項目内容
古典籍資料の修復古典籍資料の傷んだ部分の修復
古典籍資料のデジタル化・公開古典籍資料をデジタル撮影し、書誌情報を作成し、インターネット上で公開

基金活用成果のご報告

[2018年度] 江戸時代の天皇即位の儀式が色鮮やかに描かれた「中井家絵図・書類」をデジタル化・公開しました
[2019年度] 湯川秀樹博士書き込み本、滝沢馬琴が読んだ『水滸伝』、色鮮やかな琵琶湖の魚介類図説をデジタル化・公開しました
[2020年度] 琵琶の演奏を家業として朝廷に仕え、豊臣政権とも密接な関係を築いた菊亭家(今出川家)に伝えられた「菊亭文庫」を新たに公開しました
[2021年度] 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ基金により『奇兵隊日記』付属絵図49点を電子化・公開しました
[2022年度] 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ基金により東洋星図・地図5点を公開しました

ご寄付いただいた方への御礼

ご寄付いただきました方々への感謝の意を込め、以下の御礼をご用意しています。

京都大学基金からの御礼

こちらをご覧ください。

京都大学図書館機構からの御礼

ご寄付額図書館利用証の発行その他
1万円以上-
50万円以上5年間有効の附属図書館利用証
100万円以上10年間有効の附属図書館利用証
300万円以上終身有効の附属図書館利用証

※附属図書館利用証の発行を受けると、図書の貸出や書庫への入庫ができます(参考:「名誉館員」規定)。

※法人としてご寄付いただきました場合は、代表の方1名に対し附属図書館利用証を発行します。

※有効期間・サービス範囲等が異なる図書館利用証を既にお持ちの場合は、ご希望の図書館利用証1枚を有効とします。

税制上の優遇措置

ご寄付に対しましては、所得税法、法人税法による税制上の優遇措置が受けられます。

詳細はこちらをご覧ください。

ニュースレター

大学からの案内を希望された方には、定期的にニュースレターをお送りしています。

バックナンバー:20222021

お申込み

詳細はこちらをご覧ください。
お申込方法

Web申込フォームからのご寄付はこちらからお願いいたします。
クレジットカード決済、銀行振込(窓口・インターネットバンキング・ATM)、ペイジー決済(インターネットバンキング・ATM)をご利用いただけます。
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資料がデジタル化されるまで

では、いただいたご寄付を活用して、資料のデジタル化は具体的にどのような手順で進められるのでしょうか。
ここでは、実際に行われる作業と今後デジタル化を進める資料をご紹介します。

1. 対象資料の選定

資料の重要度や利用頻度を考慮して、デジタル化する資料を選びます。

2. 資料の修復

資料に傷んだ部分がある場合は、適した方法で修復・保存手当を行います。

3. デジタル撮影

資料に適した機材でデジタル撮影を行います。大判資料は分割撮影して画像を接合します。

4. 書誌情報の作成

資料のタイトル、著者、形態情報などを含む書誌情報を作成します。

5. デジタルデータの公開

画像と書誌情報をインターネット上に公開します。

今後デジタル化を進める資料(一部)のご紹介

菊亭文庫

「菊亭文庫」は、大正10-11(1921-1922)年に故菊亭公長侯爵から永久寄託されて以来、附属図書館貴重書庫に保管され、利用に供されてきましたが、所有者のご厚志により、新たな関係資料とともに寄贈され、2020年度に正式に附属図書館所蔵資料としての登録が完了しました。

菊亭家(今出川家)は、兼季(1281-1339)を祖とする清華家の一つで、琵琶の演奏を家業として朝廷に仕え、晴季(1539-1617)の時代には豊臣秀吉に関白任官を持ちかけたことでも知られています。

総点数は1,833点で、菊亭家家記、特に家業の音楽書を主軸として有職故実に関する文書記録から構成されます。興味深い史料の一例としては、戦国期の公家山科言継(1507-1579やましな ときつぐ)の日記『言継卿記』のうち天正4(1576)年の記録があります。6月12日の記述からは、当時大坂本願寺を包囲していた明智光秀が現在でいう赤痢に罹患して伏せっていたことがわかります。また、『文机談』の貴重な古写本も含まれています。

今後、重点的な調査、修復、電子化が望まれる資料群です。

中井家絵図・書類

江戸幕府京都大工頭の中井家伝来の図面等約2,500点からなる資料群です。

二条城や京都御所などの建築にも携わった大工棟梁中井正清(1565-1619年)は、2018年に長香寺(下京区高倉通松原下ル)で四百回忌法要が営まれ、肖像画と墓も公開されるなど、話題になりました。禁裏之部1,067点、幕府之部13点、二条城関係資料249点、儀式之部4点、地図類69点が既にデジタル化・公開されており(こちらをご覧ください)、たとえば二条城関係資料の中には、後水尾天皇の行幸(寛永3年、1626年)を迎えるために寛永元年(1624年)から行われた二条城の大改築による間取りの変更などがわかる図面などがあり、二条城、京都の歴史を研究するうえで重要な資料群です。

まだデジタル化されていない資料には、京都やその周辺地域の寺社関係資料、その他京都市内の建築物の図面、中井家に関する史料など、京都にゆかりの深い図面・文書があります。

蔵経書院文庫

蔵経書院文庫は、京都蔵経書院の旧蔵書で、仏教聖典の総集である大蔵経の編纂・出版の歴史を研究するうえで重要な資料群です。

日本における大蔵経の編纂は長く書写によっていましたが、江戸時代に入ると木版出版により天海版と黄檗版の二種が完結され、明治期には日本最初の金属活字使用の漢訳大蔵経『大日本校訂大蔵経』(弘教書院、1881-1885年刊)が、続いて『日本校訂大蔵経』(蔵経書院、1902-1905年刊)、『大日本続蔵経』(蔵経書院、1905-1912年刊)が刊行されました。

京都大学附属図書館が所蔵する蔵経書院文庫は、『大日本続蔵経』およびその後蔵経書院が刊行した『日本大蔵経』(1914-1921年刊)の底本、未刊に終わった『日本大蔵経』第2部の底本、さらに真宗関係宗書からなります。日本仏教各宗の開祖および高僧による撰述類が網羅されており、他に類のない典籍も少なくありません。また、大蔵経出版に際しては膨大な量の経典の校合や校正作業が必要となりますが、その努力の様子をうかがい知ることもできる資料です。

谷村文庫

藤本ビルブローカ銀行(現大和証券)取締役会長などを歴任した実業家、谷村一太郎氏(1871-1936)の旧蔵本です。実業界で活躍した谷村氏は蒐書家としても有名で、秋村と号し(これに因み、本文庫一冊ごとに「秋邨遺愛」の朱印が捺印されています)、京都大学の教授たちとも親交がありました。

谷村文庫はそのほとんどが和漢の稀覯書で、奈良時代にまで遡る写本のほか、春日版、高野版、五山版、宋版、明版等の各種の版式が多数収集されています。

国文学関係の典籍としては、「猪苗代家本」が本文庫中の異色の収書として研究者の間で知られています。猪苗代家は、『新撰菟玖波集』の撰者であった猪苗代兼戴(1452-1510)を家祖とし、兼純(1487-?)から明治初年の兼道に至るまで、代々連歌師として仙台藩に抱えられ、伊達家の連歌行事への参加、連歌指南などを行いました。猪苗代家旧蔵書は、体系的な連歌蒐書として貴重なものです。

お問い合わせ

京都大学附属図書館 総務課総務掛
TEL: 075-753-2691
FAX: 075-753-2629
e-mail: kikin660[a]mail2.adm.kyoto-u.ac.jp([a]は@に書き換えてください)
〒606-8501 京都市左京区吉田本町

参考

京都大学基金