*本レクチャーは終了しました。多数のご参加ありがとうございました。*
平岡敏洋先生 レクチャーの様子
<レクチャーの概要> (平岡先生より)
2013年3月から京大生協で販売が始まった「素数ものさし」.発売直後にネットを始めとする各種メディアで話題になった影響もあり,2013年夏頃まで入手困難な状態が続くほどの大ヒット商品で,累計2万本を超える販売数となっています.この素数ものさしを生み出すキッカケとなったのが「不便益」という人間機械系の新しいシステム設計論です.
近年,急激に普及している便利すぎるモノ・コトによって,むしろ害を感じることってありませんか?不便益に関する研究は,この問題を解決することで,人間の生活をより豊かなものしたい!ということを目標に,約10年前に始まった新しい取組みです.
手足を動かさないといけない物理的操作を伴う手間や,頭を使わないといけない認知リソースを割くという手間を不便と定義し,その手間をかけることによってのみ得られる嬉しさや楽しさといった主観的な益,または技能向上などの客観的な益を,不便益と定義しています.
不便益の研究は,知る(事例収集),考える(事例分析・体系化),生かす(新しい不便益なシステムの設計)の3本柱で構成されており,あくまでも工学的アプローチに基づくものです.決して,昔の不便な生活に戻ろうといった活動ではありません.
本講演では,不便益とは何か?ということについて説明した後に,不便益研究に携わる研究者たちの具体的な取組みについて概観していきます.
ちらしはこちら(↓)
[講師略歴]1970年福岡県生まれ.京都大学工学部卒業,同大学院工学研究科修了後,1996年松下電器産業株式会社に入社.1998年10月より京都大学大学院情報学研究科助手(後に助教)となり現在に至る.博士(情報学).以前は自動車の車両運動制御に関する研究を行っていましたが,最近では,人(ドライバ)を活かす運転支援システム,とくにインタフェース設計に関する研究を中心に行っています.さらに,手間(不便)をかけることで得られる嬉しさ・楽しさといった主観的な益に着目した新しいシステムデザイン論である「不便益」に関する研究にも精力的に取り組んでおり,その一環として2013年よりデザイン学ユニット構成員も務めています.素数ものさしを生み出した不便益システム研究所の広報担当として,facebookやtwitterなどの中の人としても活動中.
[問合先]
京都大学附属図書館 参考調査掛
TEL: 075-753-2636
e-mail: ref [at]kulib.kyoto-u.ac.jp