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英国下院議会文書, 1801-1900 (エイコク カイン ギカイ ブンショ 1801-1900)
The House of Commons Parliamentary Papers, 1801-1900
19世紀英国下院議会文書 (19セイキ エイコク カイン ギカイ ブンショ)

本コレクションは、英国通産省図書館所蔵の“House of Commons Parliamentary Papers(Bound Set)1801-1900”の原本をもとにマイクロフィッシュ化したもので、いわば19世紀下院文書総集成ともいうべき資料である。

編集にあたっては下院図書館等の所蔵の原本とも照合し、加えてこれら原本に漏れていた文書も新たに収録されたといわれている。また、House of Lords Sessional Bound Setに入っている上院文書のうち19世紀議会文書としてどうしても欠かすことのできないもの、83点が付け加えられた。その数、文書数にして約80,000点、4,200,000頁(46,183 Microfiche)にのぼる膨大な資料集成である。

Parlimentary Papers とは Sessional papers、即ち議会の会期別の議会文書のことで、議院内外から発生する議会提出文書-法案、議会委員会報告書、政府委員会報告書、外務省外公文書や省庁年次報告等々が含まれる。いわゆるブルーブックと通称されていたものがこれにあたる。

19世紀イギリスにおいてはそれまでの国王・貴族・庶民による協調・均衡関係の上に成り立っていた統治システムが終りを告げ、庶民院、即ち下院の地位の上昇による議会を中心にした政治が展開されるようになった。そして国家の重要問題のすべてが議会、とりわけ下院で討議され、政治、立法、外交上の文書の殆んどがそこに集中された。従って下院文書は19世紀イギリスの政治や社会を理解する上で欠かすことのできない貴重な多くの情報を提供してくれるのである。

とくに Select Committee を中心にした議会内の委員会文書は重要である。また19世紀後半から20世紀にかけて自由主義経済の発展・変化に伴なって政府機能が増大し、「議会政治」から「内閣政治」へと政治システムが移行し、 Royal Commission や Departmental Committee などの議会外の政府委員会の役割が大きくなっていくが、これらの委員会から報告される文書も非常に重要である。イギリス議会資料の中でとりわけ重要なこの政府文書はコマンドペーパーとして研究論文などでしばしば引用される。このように19世紀においてはすべての重要な議会・政府文書がParliamentary papersとして存在していたのである。

19世紀イギリス議会資料は近・現代の史料としては言うに及ばず、法律学、政治学、経済学などのあらゆる社会科学の分野の第一次資料として高い価値をもっている。

静脩 : 京都大学附属図書館報 vol. 21 no. 2 (1985.3) p. 17-18

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