文献収集の基礎

論文・レポートを書くための、文献の調べ方・集め方

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文献収集の重要性

 どんな学術的研究の分野でも、研究成果は、論文や、図書といった文献資料に発表されます。そしてその学問分野は、発表された文献の積み重ねで発展してきました。
卒業論文やレポートを書くときでさえ、その分野の過去の研究成果をふまえ、それを参照し、引用することなしには成り立ちませんし、説得力のあるものにはなりません。そこで、よい論文・レポートを書くためには、まず、先行研究の文献資料を収集するということが大切です。
文献を収集し、目を通す過程で、その分野の研究の全体像が実感され、なにが重要な学説か、どんな論点があるかなどが見えてきます。また、自分が今から書こうとしている論文・レポートの方向性も見えてくるでしょう。
したがって、論文・レポートを書くにあたっては、まず、ターゲットとなるテーマに関する文献をなるべく網羅的に把握し収集することが、非常に重要になってくるのです。

文献収集の基礎知識

 文献収集は、下の図のような4つの段階を組み合わせておこないます。どの段階が必ず最初、いうわけではありません。人によって、また、論文・レポートのテーマや課題によっても、異なるでしょう。
例として、すでにある情報から、どこから始めたらよいのか示してみますので、参考にしてみてください。

  • 先生から、参考文献を指定されている。 → その文献がどこにあるか探して手に入れ、まずは目を通してみよう。(Locate & Collect)
  • 指定された参考文献に、さらに参考文献リストがついている。 → 課題に役に立ちそうな文献を選んで手に入れよう。(Evaluate, Locate & Collect)
  • 「環境破壊について」など、大まかな課題は決まっているが、参考になる文献についての情報がまったくない。 → 参考になる文献にどのようなものがあるか探してみよう。(Explore, Locate & Collect) その過程で、自分の興味・関心に基づいてテーマを絞り込もう。(Evaluate)

Explore どんな文献がある? Evaluate どの文献が役に立つ? Locate その文献はどこにある? Collect どうやって手に入れる?

* Explore * どんな文献がある?

  • すでに入手できている文献の、参考文献リストから芋づる式に探そう。
  • 百科事典で、調べているテーマに関する見出しを見よう。その分野の基本文献が掲載されている場合が多い。オンラインではJapanKnowledge(日本大百科全書など含む)が便利。
  • 京都大学KULINEで、調べているテーマのキーワードで検索してみよう。
  • 論文や記事を検索するには、各種オンライン・データベース(CiNiiWeb of Science分野別データベース)を使いこなそう。
  • 書誌(ある主題に関する文献目録)や文献索引(論文の情報を探しやすく配列した目録)がすでにあるかもしれない。KULINEで、テーマに沿った検索語に加えて、「件名」や「タイトル」に「書誌」や「書目」などのワードを入力すれば、そういった資料を検索できる。
  • 図書館の本は分野ごとに分類されて並べられている。関係のある分類の書架にある本を目で見る、「ブラウジング」をしてみよう。偶然の発見 (serendipity)も、文献探しの大切な成果。
  • Webcat Plusの「連想検索」を利用しよう。入力したキーワードから連想されるキーワードで検索した結果も出てきて、意外な資料が見つかる場合も。
  • インターネット上のウェブページも参考文献になり得る。Googleなどの検索エンジンのほか、「インターネット学術情報インデックス」Scirusなど、学術情報サイトやある分野に限って検索できるディレクトリサービスも利用しよう。

特定の文献を指示するタイトル、著者名などの情報を、「書誌事項」という。あとで文献を探すとき、また、論文・レポートの参考文献として記載するときに必須の情報なので、文献リストには、正確で十分な書誌事項を記録することが大切。
⇒ 参考:レファレンス・ガイド『参考文献リストの見方』

* Evaluate * どの文献が役に立つ?

  • 基本文献か? ⇒ 先生からの推薦・指定図書や、事典に載っていた文献/事典の項目の執筆者の文献、引用回数の多い文献*は、おさえておくべき必須の文献といえる。
    * 雑誌論文の引用回数は、Web of ScienceScopusGoogle Scholarなどのデータベースで調べることができる。
  • 書評、レビューはどうか? ⇒ 参考:レファレンス・ガイド『書評(Book review)の探し方』
  • それは図書か、雑誌論文/記事か? ⇒ 文献の形態によって内容の質も異なる。図書は、総括的で、学術研究としては比較的確立したもの。雑誌論文は、研究としては新しく、個別のテーマを扱っている。
  • その文献/研究の新しさはどうか? ⇒ 発表された時期や背景も、その文献を評価する重要な情報。
  • 内容の科学的/学術的妥当性は? ⇒ 例えば著者が匿名のインターネット上の情報を分析なしに真に受けて引用することは、適切でないこともある。

* Locate * その文献は、どこにある?

KULINEを検索する前に文献の種類を確認!

  • 図書 →その図書のタイトルで、探す。
  • 雑誌論文や新聞記事その論文が載っている 雑誌・新聞のタイトルで探す。
  • まずは京都大学にあるか探す。 ⇒ 京都大学KULINE、全学総合カード目録 [附図1階]
  • 他大学にあるかどうか探す。 ⇒ (KULINEから)他大学検索、CiNii Books、新収洋書総合目録
  • 近くの公共図書館にあるかどうか探す。 ⇒ 京都府立図書館蔵書検索京都市立図書館蔵書検索
  • どうしても見つからないときは? ⇒ 図書館員にたずねる。冊子体目録、海外の図書館の所蔵状況など、さまざまな手段で文献探しを手伝ってくれる。

* Collect * どうやって手に入れる?

  • 京都大学内にある。⇒ 所蔵している図書館/室へ行って利用する。京都大学には、遠隔地にある図書室も含めて50の図書館/室がある。それぞれ開館時間や利用規定が異なるので、事前に調べてから訪問しよう。電子ジャーナルなどは、ウェブ上で入手できる(学内からしかアクセスできないものが多い)。
  • 他の大学にある。 ⇒ 訪問利用するか、図書館間相互利用サービスを利用して、文献の複写か現物(図書のみ)を取り寄せることができる(送料等実費)。申込・問合せは、図書館の窓口へ。
  • 近くの公共図書館にある。 ⇒ 自分で出向いて、利用する。
  • その他、国立国会図書館や海外などにある資料も図書館を通じて取り寄せることができる。

わからないことがあったら・・・ 各図書館/室や、附属図書館利用支援掛まで ref660@mail2.adm

Ver.1.4, 2017.3.16, 京都大学図書館機構
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