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ブルーブックス : IUPシリーズ : 英国議会文書 (ブルー ブックス IUP シリーズ エイコク ギカイ ブンショ)
Irish University Press series of British Parliamentary Papers : blue books

英国に議会資料の中で、19世紀以降とりわけ広く学術研究に利用され、その資料的価値が高く評価されているものに、議会の討議内容を収録した「ハンサードの議会議事録」(Hansard's Parliamentary Debates)と、議会の活動に関して院の内外から提示された「ブルー・ブック」と呼ばれる資料がある。このブルー・ブックスには産業革命の影響、政治組織の改革、奴隷制度の廃止、植民地問題をはじめ19世紀英国の躍動の全過程が反映されており、文字通り資料の宝庫である。

「ブルー・ブックIUPシリーズ」は、これらブルー・ブックスの尨大な原資料のうち主要な社会・政治的資料を1,000巻にまとめ、それらを項目ごとに年代別配列で分類・整理した覆刻版である。

項目別分類は、他の類似シリーズにはみられない本シリーズの重要な特色であり、「索引」を含む31の大項目、更に必要によっては小項目が与えられて計81の項目からなっている。これらの項目は、19世紀のトロピカルな問題の一覧表であると同時に、都市問題、福祉、公害、人口問題、運輸・通信、発展途上国等今日的関心からしても看過できないものが多い。収録されている資料には議会とりわけ庶民院の委員会、特別委員会の報告書をはじめ、王立委員会報告書、政府省立委員会報告を含む各種の政府報告、諸統計類のほか、海外出先公官との往復書簡集も含まれている。また、当時の各種問題に関するW.E.グラッドストーン、J.ベンサム、J.S.ミル、R.オーエン、T.R.マルサス等当時一流の政治家、学者の見解とならんで各層の証言録も収録されており、当時の世論の包括的な横断面を知ることもできる。

本シリーズが「過去」よりも「現代」に関心を持つものにとっても貴重な価値を持つものであることは、20世紀の多くの問題が19世紀に根源をもつこと、そして19世紀における大変革がとりわけ英国と密接に関係していたことからして、おのずから明らかであろう。

なお、本シリーズの利用に関しては、“Check List of British Parliamentary Papers in the IUP 1000Vol.ser., 1801-1899”および“Subject Set:Indexes and Commentaries ”がある。

静脩 : 京都大学附属図書館報 vol. 16 no. 1 (1979.5) p. 6