私たち現生人類(ホモ・サピエンス)の祖先は約10万年前に
アフリカを旅立ち、世界各地に拡散しました。彼らの一派が日
本列島に到達したのは、約4万年前と考えられています。それ
では現生人類が日本列島にやってきた約4万年前、そこには
別の人類、すなわち現生人類以前の人類がいたのでしょうか?
現在まで続く現生人類文化の成り立ちを考えるうえで、この問
題は極めて重要です。
これを解く鍵は、遺跡から出土する石器の考古学的な研究が
握っています。ところが2000年に発覚した旧石器発掘捏造事件
が未だに尾を引いており、この分野の研究に取り組む研究者は
ほとんどいません。捏造事件発覚以後に考古学をはじめた私は、
考古学者として、この研究から逃げてはいけないと思い、自分な
りに試行錯誤をはじめました。このレクチャーでは、私がこの研究
に没頭するにいたった経緯、研究のなかでのエピソードもまじえな
がら、今、日本列島人類史の始原についてわかっていることをお
話しします。
ちらしはこちら(↓)
[講師略歴]
上峯篤史(うえみねあつし):1983年、奈良県生まれ。縄文時代の
遺跡が豊富な田舎に育ち、日本列島の歴史に興味をもつ。立命館
大学で考古学を学び、京都市嵯峨野の古墳調査に明け暮れる。卒
業論文であつかった石器研究を極めようと、同志社大学大学院に
進学し、松藤和人先生に師事。『縄文・弥生時代石器研究の技術
論的転回』(2012年)で、石器から過去の社会を見通す方法をまと
める。2009年、砂原遺跡(島根県出雲市)との出会いから、私たち
現生人類以前の人類の研究に関心をもち、自分なりの研究法を模索中。
[問合先]
京都大学附属図書館 参考調査掛*
(*平成28年4月から利用支援掛に名称変更)
TEL: 075-753-2636
e-mail: ref660 [at] mail2.adm.kyoto-u.ac.jp