第4章 事業


第2節 展覧会・講演会


 本館では開館いらい,しばしば各種展覧会および講演会を開催して,たんに学内者のみならず,ひろく好学篤志の者に公開している。それを各年次順に挙ぐれば,次の如くである。
本館創立1周年記念展覧会
 明治33年12月10日・11日の両日閲覧室において開催。本館所蔵本および近衛家寄託図書のうち, (一)漢籍門は,(1)本邦古写本 (2)本邦古板本 (3)本邦古活字本 (4)支那古板本及大部書 (5)朝鮮古板及古活字本 (6)近衛家熈手写本及校刊本とし, (二)国書門は, (7)古写本及写本希覯のもの (8)古活字本 (9)本邦板本(珍板及佳本) (10)古板絵入教訓随筆類 (11)古板草紙類とし, (三)附存門は, (1)風俗珍本類 (2)絵本類 (3)俳諧,狂歌類 (4)和蘭及外国に関する図書とし,計210点を陳列し,府下ならびに近府県所在の学校長,その他の人に案内状および入場券を発送して,広く公衆との接触を図った。

本館創立2周年記念展覧会
 明治34年12月8日より10日まで閲覧室において開催。京都地誌に関する珍襲の図書を広く収集して,第一門地図は, (1)内裏図 (2)京都図(イ.既刊の図, ロ.末刊の図) (3)洛外地図,第二門書籍は, (4)名勝志図絵部(5)年中行事細見部 (6)町鑑等(7)人物志,明鑑等とし,第三門附存は (8)大火部 (9)行列部 (10)河川部 (11)遊廓部 (12)法制部 (13)考証随筆部 (14)詞藻部として,精密に分類し,解説を添えて陳列した。

創立2周年記念展覧会 旧閲覧室

尊攘堂竣工,本館創立3周年記念展覧会
 明治36年4月12,13日の両日閲覧室において開催。尊攘堂の第1回祭典を機として,尊攘堂附属の図書物品の類,および本館所蔵の維新史料等を陳列した。

本館創立5周年記念展覧会
明治37年12月11日,12日の両日閲覧室において開催。本館所蔵ならびに寄託の近衛本および百々本中の貴重図書を,宋元版,明清版,韓本,五山版,徳川初期刊本,同中期刊本,古抄本,影抄影刻本,名家稿本および手沢本,洋書古版本等に分類し,出版年次を追って陳列した。

西洋図書展覧会
 明治39年4月1日閲覧室において開催。西洋出版の図書を時代に従って排列し,非常に盛況であった。

本館創立10周年記念医書展覧会
 明治42年12月10日より12日まで閲覧室において開催。本邦医学に関する図書を陳列し,本館図書寄贈者,近府県学校長,医師,その他知名の士に案内状および入場券を発送して,広く篤志者の展覧に供した。
 また11日午後2時より,富士川游氏が「陳列医書について」と題する講演をした。

大典奉祝陳列展覧会
 大正4年11月12,13日の両日文科大学陳列館尊攘堂において,大典を奉祝して文科大学と共催し,歴史,地理,土俗,考古,言語等の諸学科にわたる典籍,文書,ならびに物品を陳列した。文科大学陳列館の第1室には,主として皇室に関するもの,および外国交通・外国語学等に関するもの,第2室,第3室には国史に関するもの,第4室に印度に関するもの,第5室に日本新領土,および欧洲戦場地図に関するもの,第6室に東洋史にに関するもの,第7室に西洋史に関するものを展示し,別に尊攘堂に特別室を設け,日本考古学に関するものを陳列した。

京都帝国大学附属図書館展覧会
 大正7年4月20日新事務室各室において,事務室新築落成を機として開催し,図書館学の大綱を平易な絵巻の様式に展開し,一般に図書館事務の内容を知らせ,書籍利用の参考知識を広めることにつとめた。当日の展覧品目を挙ぐれば,

京都帝国大学附属図書館図書整理事務に関する様式類
 (1)逐次刊行物受入手続例
 (2)和漢書カード目録記入法並に分類例
 (3)洋書カード目録記入法並に分類例
 (4)京都帝国大学附属図書館使用カード種類
 (5)増加図書年報編纂例
 (6)京都帝国大学洋書目録編纂例

図書館に関する参考図書

和漢書整理参考古書目

英仏独伊出版書籍目録

米国議院図書館印刷カード及整理例

カーネギー・インスチチューション寄贈図書

故京都帝国大学総長木下博士記念図書

京都帝国大学附属図書館所蔵及寄託稀覯図書

久原氏寄託稀覯図書
図表類
 (1)京都帝国大学附属図書館事務経路図表
 (2)自明治32年10月(図書館創立当時)至大正6年12月図書増加統計
 (3)教室貸付図書統計
 (4)個人貸付図書統計
 (5)増加図書と教室貸付図書との統計対照
 (6)洋書紙版サイズ種類表
 (7)寄託図書一覧表

日本書紀編纂1200年記念展覧会
 大正8年5月10日尚賢館において開催。日本書紀に関する各種図書を陳列して比較研究に供した。また同時に新徳館において,本学教官数名が研究成果の講演をした。

日英関係史料展覧会
 大正11年5月12,13日の両日尊攘堂において開催。去る4月29日英国皇太子殿下御来学に際し,主として日英関係を示すべき史的参考資料を収集したが,その中より数点を台覧に供したのみであるので,これら収集された大部分,すなわち主として本学所蔵のもの,および京都市内を始め東京や長崎からも借用することのできたものを,明治時代のものは20年代以前に限ることにして,なるべく初期のものに力を注いで陳列し,日英関係の歴史を回顧し,あわせて明治文化史および学芸史の一面を知るの便に供した。両日とも千名内外の熱心な観覧者を得た。

大典奉祝勅版官版及藩版図書展覧会
 昭和3年12月3日より7日まで,閲覧室において開催。本館所蔵品および近衛文麿氏蔵,谷村一太郎氏蔵,久原房之助氏蔵,京都府立図書館蔵の図書を展観したが,折から日本図書館協会主催の第22回全国図書館大会が本学で開催中であったので,会員の参観者で大変にぎやかであった。

本学創立記念図書展覧会
 昭和5年5月18日尊攘堂において開催。

近衛家寄托書展覧会
 昭和12年11月21日より23日まで,文学部支那学会と共催。近衛家の旧蔵書で本学に寄托されている,漢籍および貴重な和書を展観した。

戦争に関する新聞展
 昭和17年6月18日第二閲覧室において,本学創立第45周年記念日を祝して開催。明治維新以後より最近に至る戦争に関する新聞を陳列し,平素見る機会のない維新期の諸日誌から明治初年の諸新聞,あるいは西南,日清,北清,日露戦役における勝利の戦報など,さらに第1次世界戦争,満洲,支那両事変,大東亜戦争緒戦までの新聞,雑誌,画報,写真などを選んで展観した。

西園寺公関係図書展
 昭和19年6月18日清風荘において開催。本館閲覧室に久しく掲げられていた「静修館」の扁額を初め,本学法学部,文学部,経済学部など所蔵の西園寺公ゆかりの図書10数点と,男爵住友吉左衛門氏,住友保丸氏,大平賢作氏,原邦造氏,立命館など所蔵の書翰,書幅,愛用品など35点余を展観した。

本学創立50周年記念附属図書館所蔵貴重書展
 昭和22年10月26日,27日の両日図書陳列館(尊攘堂)において開催。貴重和書の部として百萬塔,万葉集(尼崎本),伊勢物語(嵯峨本)など10数点と,明治初中期の英語手引書,辞書の部として横文字早学(慶応2年錦光堂版)など20余点,貴重洋書の部として耶蘇会関係資料,日本関係資料,18世紀和蘭自然科学書,その他ダンテ「神曲」各種版など眼30点を陳列した。

本館所蔵貴重書展
 昭和23年10月30日,31日の両日,館長室米国教育文庫室において,読書週間(第2回)に協賛して開催。(一)奈良朝の写経と印刷,(二)平安末期の和歌と日記,(三)鎌倉,室町時代の経学と説話,小説(四)江戸時代の諸本,に区分して,光明皇后願経,兵範記,春秋左伝抄(宣賢筆),伊曾保物語など,20数点を展観した。

新着米国図書展示会
 昭和25年6月29日より7月1日まで陳列室において開催。極東貿易株式会社の出品で,戦後久しく入手難であった米国図書,人文科学関係750点と,自然科学関係(医書を除く)450点を展示し,出品目録を参観者に配布した。また29,1日の両日は午後1時から解説講演を行った。

イスパニヤ文庫展
 昭和26年3月28日イスパニヤ文庫室において開催。昨年スペイン国政府ならびに同国最高学術会議の厚意によって寄贈された学術書でもって,今回日西両国の親善ならびに文化交流のため「イスパニヤ文庫」が本館に開設されることになったので,それを記念して駐日スペイン国カスティヨ公使夫妻およびアローンソー一等書記官夫妻を招待して展示した。

清家(舟橋家)旧蔵本展
 昭和26年12月8日陳列室において文学部支那学会と共催。今回舟橋清賢氏より蔵書を本館に寄贈されたのを機に,経学の研究資料として本邦屈指といわれる同家の記録および家学書を陳列して,清原家(舟橋家)家学の紹介に資した。また文学部宮崎市定教授,吉川幸次郎教授,法学部猪熊兼繁教授の記念講演会を開催した。

佐藤家寄贈和算図書展
 昭和27年6月21日陳列室において開催。(明)程大位の原著で湯浅得之が訓点をつけて翻刻した算法統宗と,これをもととした吉田光由の著明な算術書塵劫記等,本館所蔵本10余点と,今回寄贈された佐藤則義氏旧蔵本の和算稀覯書約40点を展観。あわせて米国プラスチック・レリーフ・マップの一般公開をした。
 なお講演室において,理学部小堀憲教授は「和算について」,人文科学研究所藪内清教授は「中国数学の和算に及ぼせる影響」,理学部槇山次郎教授は「現代日本地質学とプラスチック・レリーフ・マップについて」と題して,それぞれ記念講演を行った。

近世文学展
 昭和28年10月31日と11月1日の両日陳列室において,読書週間(第7回)に協賛して開催し,近世江戸文学を代表する元禄歌舞伎狂言本および連歌,奈良絵本等40数点と,天理図書館が秘蔵する秋成自筆の春雨物語,秋成文集等20余点を展観した。なお今回新しく備え着けた陳列ガラスケースに収めたので,参観者の好評を得た。

西洋古文献展
 昭和29年4月19日より5月8日まで陳列室において開催。14世記の特許状を初め,15世紀から18世紀までの公文書,証文,遺言状,公正証書等,珍らしい羊皮紙文書を中心とする西洋古文献17点を展観したが,新学期で新入生が続々つめかけた。

本学創立第57周年記念資料展
 昭和29年6月18日より25日まで,陳列室において開催。本学の創立ならびに今日に至る発展の姿を偲ぶ写真,記録,書簡,出版物,その他を本学名誉教授をはじめ,学内外から出品を得て展観したが,非常な好評を博した。

朝鮮古文献展
 昭和29年10月9日より15日まで,陳列室において文学部朝鮮学会と共催し,朝鮮財政史研究の貴重な資料である河合本を主として展観した。なお9日午後1時より楽友会館において,文学部梅原末治教授の「朝鮮遺跡に拠る三国鼎立時代の韓半島」と題する公開講演と,京都アメリカ文化センターヘンダーソン主任の「朝鮮の風物」と題するスライドを映写した。また10日午前9時より午後4時まで講演室において,朝鮮に関する研究発表会を開催した。

医学関係稀覯図書展
 昭和30年3月29日より4月10日まで陳列室において開催。4月1日から始まった第14回日本医学会総会を機会に本館所蔵の医学関係稀覯書(主として富士川本等)を陳列し,和書は薬経太素(和気広世著2巻1冊写)以下49点,洋書は江馬蘭斉(1747−1838),新宮凉庭(1787−1854)の手沢本の1部と同総会のため寄贈された知名人の書画,工芸品類をあわせて展観した。

シラー歿後150周年記念展
 昭和30年6月9日より11日まで陳列室において,文学部ドイツ文学研究室と共催し,本館および文学部所蔵のシラー関係の図書を展観した。なお9日に文学部大山定一教授の講演とその伝記映画(16粍)を講演室で映写した。

図書館学関係及び稀覯図書展
 昭和30年10月28日より11月12日まで陳列室において,読書週間(第9回)に協賛して日本図書館学会と共催し,本館が所蔵する図書館学関係図書と,古写本,古刊本,絵巻物,奈良絵本,その他小説本等種々の稀覯書を陳列した。

図書及び印刷の変遷史展
 昭和31年5月21日より26日まで陳列室において開催。図書の種々の形態を示す資料および,世界最古の印刷と称せられる,法隆寺百万塔陀羅尼経を始めとして,支那,朝鮮,日本の版本,木活,金属活字本等,印刷の変遷を示す資料を時代順に陳列した。

ハイネ百年祭記念展
 昭和31年6月9日陳列室において,ドイツ文学会と共催し,ハイネの追憶と思想の普及のため,講演会を行った。なお展観場において,ハイネ歌曲のレコード演奏(解説付)を催した。

北村季吟250年記念展
 昭和31年6月16日より20日まで陳列室において開催し,京都新玉津島神社より後陽成天皇宸筆「玉津島明神」神号を始め,大津石山寺天理図書館新村出氏,鈴鹿三七氏その他より出品の自筆の書簡および日記等,50数点を展観した。

季吟記念展で講演する新村出博士
 また講演室においては,下記の講演会が開催された。
  日記及び書簡を通じて見たる季吟 文学部教授 野間光辰
  展観品について 南山短大教授 鈴鹿三七氏
  季吟翁顕彰 京大名誉教授 新村 出氏

本館所蔵重要文化財図書展
 昭和31年9月17日より22日まで陳列室において開催。重要文化財に指定されている,(1)「清原家の家学書」34集,紙本124冊,(2)「兵範記」平信範自筆本19巻,(3)「万葉集巻16」尼崎本,(4)「古今集注」20巻の4種を陳列した。

私家限定版袖珍本展
 昭和31年10月29日より11月2日まで陳列室において開催し,伏見若林正治氏多年の苦心収集にかかる蔵書を始め,文学部宮崎市定教授,理学部松井佳一講師,人文研倉田淳之助講師,文学部卒業生中野荘次氏等所蔵の貴重な私家版,限定版,および各種袖珍本約200点を展観した。

イタリア図書展
 昭和32年2月18日より27日まで,陳列室ならびに講演室において開催。イタリア政府の厚意で,この図書展開催のため日本に送られて来た,イタリアにおける各学問領域の最新の成果を示す総数約3,000冊の図書を,(1)イタリアにおける書籍の歴史 (2)ダンテ関係 (3)イタリアで出版された東洋に関する書籍 (4)文学 (5)美術 (6)哲学・歴史・宗教 (7)法律 (8)経済 (9)博言学 (10)科学 (11)イタリア書籍病理学研究所の11の部門に分けて陳列した。なお18日午後11時より,イタリア大使代理ドウランテ情報官を迎えて開展式を行った。また23日午後1時より会議室において次の講演会を開催した。
  イタリア文化と図書 京大教授 野上素一
  イタリア書物文化の背景 甲南大教授 寿岳文章
谷村文庫展
 昭和32年10月12日より26日まで陳列室において開催。故秋邨谷村一太郎氏が収集した国文学書,古文書等,数千部に達する貴重な資料から,氏の業績を偲びかつまた本文庫の価値を広く世に問うため,古写経,古刊本,連歌(猪苗代本)に大別して70点余を展観した。
 なお,26日午後1時より講演室において,下記の記念講演会を開催した。
  二条良基の連歌につい[て]  京都女子大教授 岡見正雄
  秋邨翁と古書探求 龍大名誉教授 禿氏祐祥
  挨拶 京大名誉教授 新村 出
  列品解説 ノートルダム女子大講師 鈴鹿三七

法隆寺資料展
 昭和32年11月14日より20日まで陳列室,講演室,会議室において開催。法隆寺に関する文献および便利堂製原寸大壁画掛軸12面全部と,模型を作製し,実際通り展示し,あわせて火災のため損傷した部分写真をも添えた。また文学部陳列館が所蔵する同寺の模型を陳列し,今までにない大がかりな展覧会を行った。

イタリア図書展
 昭和33年7月4日より8日まで陳列室において開催。駐日イタリア大使館
の厚意で,昨年2月に引き続き今回は,イタリア国立印刷局の出版物を中心とした図書を展観した。
 また下記の講演会を4日午後1時半より,会議室において開催した。

イタリア図書展 陳列室にて
  イタリアにおける出版とその歴史 京大教授 野上素一
  フイレンツェ回顧 トーマス学院教授 ヴェンチヴェニ博士

維新資料展
 昭和33年10月15日より18日まで陳列室において開催。戦後ながらく公開されなかった,本館所蔵尊攘堂の遺品・遺墨の一部を展観したが,維新史の研究がますます盛んな今日において,同資料の展示は大変な人気を呼んだ。

奈良絵本展
 昭和33年10月27日より11月8日まで陳列室において,読書週間(第12回)に協賛して開催。本館および文学部所蔵の奈良絵本を中心とし,さらに清水泰氏,中野荘次氏,若林正治氏襲蔵にかかるものを合せ約50点を展観したが,このように多数,系統的に展示されたことはほとんど例がなく美術史・国文学史の資料として,これまた話題を呼んだ。
 なお11月8日午後1時半より会議室において,つぎの講演会を開催した。
  奈良絵本について 立命大講師 清水 泰

重要文化財図書展
 昭和34年4月30日より5月2日まで陳列室において開催。本館所蔵の重要文化財「兵範記」の修理完成を機として,同自筆本,古写本,附属写本を主とし,清原家家学書,万葉集(尼崎本),古今集注など総数37点を展観した。
 なお5月2日午後1時より講演室において,次の講演会を開催した。
  日本の書物文化について 文学部教授 赤松俊秀

京都祭礼関係図書展
 昭和34年5月13日より15日まで陳列室において開催し,京都の年中行事の祇園祭,葵祭,牛祭等主な祭礼を記した文献,図絵,写真等を展観した。14日午後3時より講演室において,本学法学部教授猪熊兼繁氏が「葵祭その他」と題して講演を行った。

徳川本源氏物語絵巻複製展
 昭和34年9月17日より19日まで陳列室において開催。東京芸術大学より徳川黎明会所蔵の「源氏物語絵巻」を底本として,川面義雄画伯が16年の年月を費し複製された木版摺2巻(上,下巻で中巻は昭和25年やはり同氏により徳川黎明会から刊行された)が寄贈されたのを機会にこれを展観した。
 なお19日午後1時より,講演室において「源氏物語絵巻について」と題して関西学院教授源豊宗氏の講演と,徳川美術館所蔵の源氏物語カラースライド(解説付)を映写したが,本館創立以来未曾有の盛況を示し,数回映写を繰返した。

貴重史料展
 昭和34年11月2日より7日まで,陳列室において読書週間(第13回)に協賛して,文学部読史会と共催し,地蔵院文書のほか,中世ならびに近世史料など,本館が所蔵する貴重書42点を陳列した。また同展観目録を刊行した。
 なお5日午後1時より,講演室においてつぎの講演会を開催した。
  明治中期における国粋主義者の著述と思想 立命大助教授 岩井忠熊
  近世公卿貴族の生活 大阪女子大教授 村山修一

本館創立60周年記念回顧展
 昭和34年12月9日より12日まで陳列室において開催し,本館創立以来の刊行図書をはじめとし,寄贈申込書,珍らしい各種の古いタイプライター,或いは写真集,尊攘堂芳名録,主な寄贈図書など本館60年の姿を偲ぶ資料160点余を展観したが,記念式典(12月11日挙行)に参列した旧職員などが往古を懐しみながら眺める姿があちこちに見られた。