第4章 事業


第3節 講習会

 本館にて開催された図書館講習会は,いずれも文部省が本学に委嘱して実施したもので,本学の教官および本館職員が多数出講した。以下列記すれば

文部省主催図書館講習会
 大正14年10月5日より14日まで,尊攘堂を会場として開催し,現に図書館業務に従事する者約40名を募集詮衡し,講習員には出席日数を考査し,修了証書を授与した。その科目および講師は
  正科 (時間)
   図書の分類及排列法 6 大阪府立図書館長 今井貫一
   図書の選択法 2 京都府立図書館長 北畠貞顕
   基本図書及参考図書 4 京都帝国大学図書館長 新村 出
   読書の指導法 2 京都府立図書館長 北畠貞顕
   和漢書目録記入法及実習 8 京都帝国大学司書官 山鹿誠之助
   洋書目録記入法及実習 8 京都帝国大学司書 笹岡民次郎
   実習 {京都府立図書館に於ける指導 3 京都府立図書館司書 加藤憲一
  大阪府立図書館に於ける指導 3 大阪府立図書館 中尾謙吉
  副科 (時間)
   社会教育機関としての図書館 2 京都帝国大学教授 藤井健治郎
   和漢書の装幀 2 〃         〃 吉沢義則
   支那の目録学に就て 2 〃         〃 狩野直喜
   郷士史料と図書館 2 〃         〃 西田直二郎
   仏教書籍概説 2 京都帝国大学司書官 藤堂祐範

文部省主催図書館学講習会
 昭和7年11月1日より10日まで,10日間,尊攘堂を会場として開催し,地方長官,学校長推薦による公共図書館員,学校図書館員約100名を募集し,前回同様講習員には出席日数を考査し,修了証書を授与した。その科目および講師は
    (時間)
   社会教育と図書館 2 文部省成人教育課長 松尾長造
   図書館通論 3 帝国図書館長 松本喜一
   図書分類法 6 大阪府立図書館長 今井貫一
   図書閲覧指導法 3 京都府立図書館長 北畠貞顕
   特殊図書の蒐集整理 2 京都帝国大学図書館長 新村 出
   和漢書目録法 6    〃       司書官 山鹿誠之助
   洋書目録法 6    〃       司書 谷口寛一郎
   仏教書籍概説 2    〃        〃 藤堂祐範
   目録記入法実習 6    〃        〃 谷口寛一郎
     〃       嘱託 的屋 勝
  経済史料に就て 2 京都帝国大学  教授 本庄栄治郎
  郷土研究に就て 2    〃        〃 石橋五郎
  支那文献学 2    〃        〃 小島祐馬
  農村と図書館 2    〃        〃 橋本伝左衛門

昭和26年度図書館専門職員養成京都大学講習

 昭和26年7月11日より9月10日まで法経第4教室を会場として開催。この講習会は図書館法第6条第1項「司書及司書補の講習は,教育学部又は学芸学部を有する大学が文部大臣の委嘱を受けて行う」によって行われたもので,本年度は東北,東京,慶応,名古屋,京都,九州の6大学において実施された。図書館法施行の昭和25年7月30日現在在職中の図書館職員で,司書および司書補の暫定資格を附与されたものを主体とし,滋賀,京都,大阪,奈良,和歌山,兵庫,岡山,広島,鳥取,香川,徳島,高知の2府10県を京都大学の担当区域として,163名が受講した。
 なお本講習受講者の参考に供するため,本館所蔵図書の展観を9月3・4の両日,イスパニア文庫室,教官閲覧室において,第1日は,洋書,和漢書,写本を,第2日は,和漢書,装釘の標本を展示した。
 その科目および講義は
    (単位)   (時間)
  図書館通論 1 15
    (アメリカ図書館事情) 泉井久之助 (2)
    (ヨーロッパ図書館事情) 中村祐吉 (2)
    (図書館の建築) 森田慶一 (2)
    (一般)  小倉親雄 (9)
  図書館実務 1 山下 栄 15
  図書選択法 1 竹林熊彦 15
  図書目録法 2 45
    (洋書について) 中西信太郎 (2)
    (  〃   )  伊吹武彦 (2)
    (和書について) 遠藤嘉基 (2)
    (漢籍について) 吉川幸次郎 (2)
    (欧米の公文書について) 岩村 忍 (2)
    (古記録について) 猪熊兼繁 (2)
    (洋書目録)  佐々木乾三 (10)
    (図書館の建築) 森田慶一 (2)
    (和書目録) 鈴鹿 蔵 (5)
    (洋書目録) 谷口寛一郎 (10)
    (漢籍目録)  鈴木隆一 (5)
  図書分類法 1 天野敬太郎 15
  レアァレンス・ワーク 1 木寺清一 15
  図書運用法 1 南 諭造 15
  図書館対外活動 1   15
    (一般)  西藤寿太郎 (13)
    (分館の活動) 西村精一 (2)
  児童に対する図書館奉仕 1 仙田正雄 15
  視聴覚資料 1 大佐三四五 15
  学校教育と公共図書館 1 池田 進 15
  図書館史 1 富永牧太 15
  社会教育 1 西元宗助 15
  図書及印刷史 1 田中 敬 15
  図書目録法(西洋古典と図書館) 泉井久之助 (3)
  図書解題及び図書評論    

昭和27年度図書館専門職員養成京都大学講習

 昭和27年7月5日より9月10日まで法経第4教室を会場として,前年度同様,図書館法第6条の規定に基づき開催。本年度は東北,東京,名古屋,京都,九州,新潟,信州,広島の全国8大学において実施された。そして京都大学は受講区域を全国として133名が受講した。
 その科目および講師は
  〔必修〕 (単位)   (時間)
  1 図書館通論 1 15
    A アメリカ図書館事情 泉井久之助 (2)
    B ヨーロツパ図書館事情 中村祐吉 (2)
    C 各国に於ける図書館教育 大佐三四五 (2)
    D (一般) 小倉親雄 (9)
  2 図書館実務 1 山下 栄 15
  3 図書選択法 1 竹林熊彦 15
  4 図書目録法 2   54
    A 自然科学書について 田村松平 (3)
    B 文学書について 桑原武夫 (3)
    C 哲学書について 高田三郎 (3)
    D 経済書について 堀江保蔵 (3)
    E 歴史書について 原 随園 (3)
    F 書画の取扱について 赤松俊秀 (3)
    G 古記録の整理について 猪熊兼繁 (3)
  5A 洋書目録法   天野敬太郎 (15)
   B カード排列法   佐々木乾三 (3)
  6 和書目録法   小野則秋 (15)
  7 図書分類法 1 仙田正雄 15
  8 レファレンス・ワーク 1 木寺清一 15
  9 図書運用法 1 南 諭造 15
  10 図書館対外活動 1 西藤寿太郎 15
  11 児童に対する図書館奉仕 1 尾原淳夫 15
  12 視聴覚資料 1 八木岩雄 15
  〔選択甲〕    
  13 学校教育と公共図書館 1 池田 進 15
  14 成人教育と図書館 1 西村精一 15
  15 図書館史 1   15
    A 東洋 小野則秋 (7)
    B 欧米 竹林熊彦 (8)
  〔選択乙〕    
  16 社会教育 1 西元宗助 15
  17 図書及び印刷史 1   15
    A 西洋 寿岳文章 (5)
    B 中国 神田喜一郎 (5)
    C 日本 野間光辰 (5)
  18 社会学 1 江藤則義 15
  19 図書解題及図書評論 1 上記(4)7講師 21
  20 特別講義   宮崎市定 3

昭和29年度図書館専門職員養成京都大学講習

 昭和29年7月10日より8月31日まで法経第4教室を会場として,司書及び司書補の暫定有資格者を始め,将来図書館の司書となり得る人々を養成するため開催。本年度は秋田,東京,京都,静岡,愛知学院,三重,山口,愛媛,鹿児島の9大学において実施された。そして京都大学は今回も受講区域を全国として162名が受講した。

 その科目および講師は
  1 必修科目(11単位) (単位)   (時間)
  図書館通論 1 15
      小倉親雄 (12)
      西村精一 (3)
  図書館実務 1 木寺清一 15
  図書選択法 1 竹林熊彦 15
  図書目録法 2   30
    総論・洋書 天野敬太郎 (18)
    和書 小野則秋 (12)
  図書分類法 1 仙田正雄 15
  レファレンス・ワーク 1 志智嘉九郎 15
  図書運用法 1 南 諭造 15
  図書館対外活動 1 西藤寿太郎 15
  児童に対する図書館奉仕 1 尾原淳夫 15
  視聴覚資料 1 大塚 鐙 15
  2 選択科目(4単位)    
  特殊資料 1 山下 栄 15
  図書館史 1   15
    日本 竹林熊彦 (5)
    西洋 中村祐吉 (4)
    アメリカ 大佐三四五 (6)
  社会教育 1 重松俊明 15
  図書及び印刷史 1   15
    日本 野間光辰 (6)
    中国 小川環樹 (5)
    西洋 富永牧太 (4)

 以上昭和26年,27年,29年の3回にわたり本学を会場として開催された講習は,いずれも図書館専門職員養成京都大学講習運営委員会が運営し,本学の責任において実施し,本学の認定によって,文部省がその資格を附与する権威ある講習であって,その受講者の審査にあたっては,各単位科目毎の出席率(2/3以上の出席を要す),および各単位科目ごとの考査(100点満点60点以上を要す)を論文,報告,試験のいずれかで行い,合格者には単位修得認定書を授与した。