平成14年度京都大学附属図書館公開展示会
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III: 学びの展開と継承
2: 清家文庫
〔III-2-1〕

Ⅲ-2 清家文庫

 清原家は律令体制下の大学において中国古典を伝承した明経博士家として知られるが、明経博士となったのは広澄(934-1009)からで、頼業、良賢、業忠と歴代の名儒を輩出し、室町後期、宣賢(1475-1550)により大成された。
 宣賢の学問の真髄は儒家の経典の注釈に発揮されたが、史書や兵書などの漢籍、さらに国書、字書にも及ぶたいへん該博なものであった。宣賢の学問は、古代中世の貴族の学問の集大成であるとともに、近世学術の発展の礎ともなった。
 宣賢の玄孫にあたる秀賢は、舟橋家を称し、清家歴代の学問をさらに伝えた。昭和26年、舟橋清賢氏は多くの典籍を本学に寄贈された。これを基礎とする清原家伝来の書物を、本学では清家文庫と呼んでいる。このほか、明治期以来、本学が書肆より購入し、また寄贈を受けた清家の伝本をも清家文庫に併せている。
 昭和27年、本文庫中から特に貴重な典籍が、「清家家学書」34種として一括して重要文化財に指定された。今回の展示では、重要文化財指定品のうちの十数点、清原宣賢抄写の数点を展示した。

 


尚書巻七 (図録p.107右)

〔III-2-1〕 尚書 附属図書館・清家文庫 1-63/シ/5貴別
 漢・孔安国伝 2冊 永正11年 清原宣賢写 乾冊奥書「永正十一年三月十四日、以唐本書写之、即加朱墨訖/少納言清原朝臣(花押)」 
 東晋時代、孔安国の注を伴って世に現れた『古文尚書』。宣賢の識語に唐本により書写したとあり、中国の木版本からの転写本を清家伝来の写本により校正し、加点したもの。中国で出版された木版本の本文をも積極的に摂取したことが分かる。
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