平成14年度京都大学附属図書館公開展示会![]() | >>「学びの世界」目次 III: 学びの展開と継承 3: 宗ニ・宗和—抄物から版本へ— ![]() ![]() |
Ⅲ-3-2 宗二・宗和 ——抄物から版本へ——
林宗二(1498-1581)は方生斎・安盛と号し、林逸または逸とも称した。林宗和(1499-1559)は宗二の従兄弟の子にあたり、三関・破関子と号した。彼らは市井にあって多くの抄物を作製・書写した人物である。両者の交情は深く、学問の上で互いに協力し合うことも多かった。Ⅲ-3-2-1『文選』に転写された奥書によれば、永禄2年(1559)2月中旬、相模国から15年ぶりに帰京してすぐに病の床に臥した宗和は、見舞いに来た宗二に、菅家本の点をこれに写すようにと『文選』を与えた。やがて宗和は帰らぬ人となるが、宗二はその言に従い移点を行う。宗二・宗和の残した抄物や手沢本は、古活字版等近世初期の出版に利用されることも多かった。Ⅲ-3-2-3『三体詩絶句鈔』もその一例であるし、『文選』、Ⅲ-3-2-2『後漢書』に宗二の奥書が転写されていることも、そうした可能性を示している。 |
![]() 文選(古活字版) (図録p.162) |
〔III-3-2-1〕 文選(古活字版) 文学部・中哲文 寛永2年刊 |