平成14年度京都大学附属図書館公開展示会
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III: 学びの展開と継承
4: 訓点資料
〔III-4-1〕

Ⅲ-4 訓点資料

 日本における仏教は中国を経由して伝えられた。漢訳仏典をはじめとする漢文を自国語で理解しようとする営みが「訓読」である。日本では、漢文を読解するための補助手段として、漢文本文に返点・仮名・ヲコト点などを記入することがあった。返点により語順を示し、仮名によって訓や音を表す。ヲコト点は字画の様々な位置に点や線を施すことで、助詞・助動詞・活用語尾などを表示した。これらの注記・符号を「訓点」、訓点が施された文献を「訓点資料」と呼ぶ。訓点という方式は仏教の世界で生まれ発展したものである。
 訓点資料は日本語の研究資料(特に平安時代)として重視されている。ここでは平安時代初中期に加点された貴重な訓点資料を展示する。

 


蘇悉地羯羅経 (図録p.170)

〔III-4-1〕 蘇悉地羯羅経 附属図書館 01-23/ソ/01貴別
 10世紀写
 天台密教で大日経・金剛頂経とならぶ基本経典である。本資料には、三種の奥書があり(延喜9年(909)・承暦3年(1079)・保安2年(1121))、白・朱・墨を用いて複数の加点がある。白点が延喜の奥書に対応する。本資料は西墓点加点資料として現存最古であり、朱・墨による詳細な片仮名付訓とあいまって、国語資料として極めて貴重である。


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