2020年度成果

概要

2020年2月に京都大学図書館機構将来構想2020~2027が策定されたことに伴い、研究開発室の活動計画を基本目標に沿ったものに組み直している。 2020年度は京都大学オープンアクセス方針が採択されてから5年が経過したことから、オープンアクセス方針の検証を実施した。 また、大学の学術情報の発信力の強化という観点からは、オープン・サイテーションについての取り組み、ジャーナルパブリッシングについての調査ならびにセミナーでの発表、KURENAIで公開されているジャーナルのDOAJへの登録の促進を実施した。 オープンサイエンスの広まりの中、研究データ管理についても取り組んだ。 昨年度に京都大学研究データ管理・公開ポリシーが策定されたことを受け、部局実施方針作成のためのガイドライン及び実施方針ひな形の作成に寄与した。 学術情報リテラシーについては、昨年度に引き続き学部生・大学院生向けの講義を実施するとともに、図書館による学習情報リテラシー教育支援の検証を実施した。 コンテンツ活用の面では、デジタル教材配信システムBookRoll上でKURENAIのコンテンツを推薦する機能の強化を図った。 京都大学研究資源アーカイブのアーカイブ、教育研究活動データベースとの連携など、学内の各種情報基盤との連携も強化している。

成果

(参考)2020年度活動計画

オープンアクセス推進

  • 京都大学オープンアクセス方針が策定されてから5年が経過したこともあり、京都大学オープンアクセス方針に関する検証を行った。明らかになった主な点を以下に挙げる。
    • KURENAIで公開されているOA論文は、KURENAIで公開されていない論文と比較すると、より多く引用されている。
    • 国際共著ではない論文の被引用数の増加に特に貢献している。
    • KURENAIで公開されているOA論文は、異分野からの被引用数が高く、学際的研究の発展に寄与しているといえる。
    • KURENAIで公開されているOA論文は、約2年半の期間で平均200回ダウンロードされている。KURENAIでしか公開されていない論文のダウンロード数は特に高い。
  • 学内の人文系の紀要を対象として、オープン・サイテーションに向けた取り組みを行った。紀要論文より参考文献の抽出を行い、データを作成した。データは次年度に公開する。また、機関リポジトリの紀要論文のページでデータを利用して参考文献へのリンクを貼ることで、研究の検証可能性の向上に寄与する。
  • 前述の京都大学オープンアクセス方針の検証と関連して、世界、日本におけるオープンアクセス状況の調査についてまとめた。また、発表を行った。
  • 京都大学貴重資料デジタルアーカイブの現在までの取り組み、IIIFについて紹介した。
    • 西岡千文. (2020). 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ ー連携事例を中心にー. IIIF Week: Japan Showcase「日本におけるIIIF関連活動の紹介」.
    • 西岡千文. (2020). デジタル・アーカイブ周辺技術解説(1)[IIIF]. 学術コミュニケーション技術セミナー(JPCOAR Monday). http://id.nii.ac.jp/1458/00000544/
  • 大学を中心とした研究機関におけるジャーナルパブリッシングについての調査ならびにセミナーを実施した。
    • 設楽成実. (2020). University Journals:出版を大学や研究者に取り戻す挑戦. カレントアウェアネス-E, (401). https://current.ndl.go.jp/e2316
    • 設楽成実. (2020). 今、紀要に追い風が吹いている. 研究・イノベーション学会第35回年次学術大会 実行委員企画セッション「紀要の魅力と大学の役割」(共催:紀要編集者ネットワーク). (発表とディスカッションへの参加) https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2020/12/report20201031/ https://jsrpim.jp/?p=3922
    • 設楽成実. (2021). 英文誌の刊行準備―Southeast Asian Studiesを事例に―. パブリッシングセミナー全2回(2021)「研究者の歩きかた」セミナーシリーズ #7, #8(【報告】L-INSIGHT/KURA連携プログラム パブリッシングセミナー)第1回 ジャーナルをたちあげる. (セミナーの企画、ディスカッションのモデレータ) https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2021/01/20210119/ https://ecr.research.kyoto-u.ac.jp/cat-c/c2/1103/
  • KURENAIで公開されているジャーナルのDOAJへの登録を促進した。
  • アジアに向けて、日本におけるオープンサイエンスの取り組みについて発表を行った。
  • その他
    • 引原隆士. (2020). 新しい時代の学術情報のあり方. 国立情報学研究所 設立20周年記念フォーラム:セッション4「パンデミック後の大学図書館がNIIに期待するもの」. https://www.nii.ac.jp/event/2020/1203.html
    • 引原隆士. (2020). Preprintが誘導する研究サイクルの力学考. 第2回 SPARC Japan セミナー2020「プレプリントは学術情報流通の多様性をどこまで実現できるのか?」. https://www.nii.ac.jp/sparc/event/2020/20201218.html

研究データ管理

  • 京都大学研究データ管理・公開ポリシーが策定されたことを受けて、「京都大学研究データ管理・公開ポリシー」に基づく部局実施方針作成のためのガイドライン及び実施方針ひな形の作成に携わった。
  • 京都大学と日本の各大学の研究データの公開状況について調査を実施した。また、日本の大学の構成員の研究データ公開状況についての調査結果を、下記で発表した。
    • 西岡千文. (2021). DataCiteを利用した日本の大学における研究データの公開状況についての分析. 情報知識学会誌, 30(4), 481-484. https://doi.org/10.2964/jsik_2021_013

学術情報リテラシー教育

コンテンツ活用

  • 前年度に引き続き、デジタル教材配信システムにおける図書館コンテンツ推薦システムの研究開発を実施した。KURENAIに実装されているOAI-PMHを利用することによって、新着コンテンツが自動的に推薦アイテム候補に反映されるよう、改修を行った。
    • 令和2年度全学経費(特別協力経費)「デジタル教材配信システムと図書館資料推薦システムの連携による自学自習の促進」(学術情報メディアセンター、附属図書館、国際高等教育院、工学部情報学科、情報環境機構、高等教育研究開発センター、 教育学研究科)
  • KURENAIへ京都大学研究資源アーカイブのアーカイブの資料の登録を実施した。
  • その他
    • 西村由希子, 五島敏芳. (2020). 文献参照または引用の記載にみるアーカイブ資料の識別. 日本アーカイブズ学会2020年度大会ポスター研究発表要旨・自由論題研究発表会資料・講演会資料・大会企画研究会資料(2020-10-30). p.22-25. 日本アーカイブズ学会2020年度大会. http://hdl.handle.net/2433/260595
    • 五島敏芳. (2021). 研究資源アーカイブ通信〈21〉: 臨時休館後に再開した映像ステーション, PeekデジタルコレクションのKURENAI登録. 京都大学総合博物館ニュースレター. (51), 6-7. http://hdl.handle.net/2433/262597

情報システム

  • 次期教育研究活動データベースがリリースされるにあたり、機関リポジトリ等図書館システムとの連携について検討を行った。
  • 電子ジャーナル・データベース認証システムについて、他組織の動向について調査を行い、今後について検討を行った。
  • 図書館システムリプレイスに向けて、仕様の策定に携わった。

その他