平成14年度京都大学附属図書館公開展示会
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III: 学びの展開と継承
1: 長恨歌・琵琶行
〔III-1-参〕

Ⅲ-1 長恨歌・琵琶行

 唐代の白居易(772-846)の詩文は、その存命中すでに日本に伝来していたと考えられている。その作風が平易流暢であり、かつ仏教味を帯びていたことなどからことさらに愛誦せられ、平安朝の詩文に大きな影響を与えた。日本には多くの『白氏文集』古鈔本が現存しており、なかでも展示の二種の写本のように、新楽府を収める巻3・4のみのものは多い。さらに個々の作品では「長恨歌」と「琵琶行」とがはやくから並び称され、それだけを抜き出して読む風潮が生まれた。その多くは、現在では白居易撰ではないとされる「野馬台詩」と、長恨歌の成り立ちを説明した「長恨歌伝」を二作品に併せたかたち(「歌行詩(伝)」の呼称もある)で流布し、本展示からも窺われるように、室町末から江戸時代にかけては多種の古活字版・整版が作られた。

 


長恨歌画巻 (図録p.92)

〔参考〕 長恨歌画巻 チェスタービーティライブラリー蔵
 江戸時代前期 狩野山雪筆
 玄宗の愛を独占する楊貴妃。


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