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ニンマ版チベット大蔵経 (ニンマバン チベット ダイゾウキョウ)
The Nyingma edition of the sDe-dge bKa'-'gyur and bsTan-'gyur
デルゲ版チベット大蔵教 (デルゲバン チベット ダイゾウキョウ)

チベット大蔵経は、インドにおいて成立した仏典(経典及び論典)が九世紀以降数世紀にわたってチベット語に翻訳、集成されて出来たもので、量的にも漢訳大蔵経を凌ぎ、質的には漢訳よりもはるかに原典に忠実な翻訳である。インドの仏典でサンスクリット原典として現存するものは僅かにすぎず、大部分は散佚しているため、仏典研究にはチベット大蔵経が不可欠の資料である。

17世紀から18世紀にかけて、チベット訳仏典は続々と木版印刷に付せられ、いわゆる四大チベット大蔵経が開版された。北京版は1684年から1724年の間に開版された。デルゲ版は1729年〜1744年に、ナルタン版は1730年〜1742年に、チョネ版は1733年〜1773年に完成した。これらの四大大蔵経は経典と論典を併せもっているが、そのほかに経典のみの集成で1923年に開版されたラサ版がある。

チベット訳「大蔵経」のデルゲ版は、周知の如く、漢訳にないサンスクリット語仏典の翻訳、特に、7〜8世紀以後の後期インド仏教の典籍が含まれていることなどから、インドにおける仏教伝播の研究上、重要な資料となっている。本書は、デルゲ版のもつ文献的学術価値を「大蔵経」の諸々の版にあたり、内容の正確さを期し、なおかつ「大蔵経」研究上、必要な参考書誌及び解題、仏教伝播の地理的考察(地図添付)、筆跡考証などの研究文献を収録しており、仏典研究には貴重な文献である 。

静脩 : 京都大学附属図書館報 vol. 20 no. 2 (1984.1) p. 2-4

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