【図書館機構】京都大学貴重資料デジタルアーカイブ: 附属図書館所蔵「中院文庫」「近衛文庫」289タイトルを公開しました
附属図書館所蔵「中院文庫」278タイトル及び「近衛文庫」11タイトル、合計289タイトルを新しくデジタル化・公開しました。2020年3月19日現在、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの公開件数は、17,638タイトル、1,363,600画像となりました。
中院文庫は故中院通規伯爵(1856-1925)の旧蔵書で、大正12(1923)年に元住友本社社長住友吉左衛門氏が中院家との姻戚関係の縁故から、通規氏より一括購入して本学に寄贈したものです。中院家は具平親王を遠祖とする村上源氏の一流で、特に14代の通勝(1558-1610)、15代通村(1588-1653)は近世国文学に大きな功績を残しました。本文庫は、中院一門の学匠の自筆本または写本、あるいは書入れ等の手沢本等を根幹とし、刊本はほとんどありません。勅撰和歌集や『源氏物語』、『伊勢物語』等自筆の訓注、評釈のほか、自筆の日記、朝儀典礼に関する書留、覚書等の記録等の有職故実の原典を多く含み、当時の宮廷の状況や風俗史を研究する上で貴重な一次資料です。

近衛文庫は旧五摂家の筆頭である近衛家の旧蔵本です。近衛家伝世の典籍は明治33(1900)年以降数回にわたり京都大学附属図書館へ寄託されましたが、昭和13(1938)年に近衛家伝世文献の分散を防ぐ目的で財団法人陽明文庫が設立されたのを機に、永久寄託を解除して漸次陽明文庫に納入されました。この際、寄託資料より219部3,150冊が昭和19(1944)年附属図書館へ寄贈され、現在の近衛文庫となりました。近衛文庫は漢籍を主幹としており、欠巻があるものの粗宋版の稀覯書である『荘子鬳齋口義』や嘉靖20年の活字印本『欒城集』、『雲南通志』等の勅撰の中国地誌類を集成しています。このほか、『宇津保物語』『落窪物語』『大鏡』等の古写本、または『医学入門』『古今医鑑』等の慶長元和年間の和刻古活字版も含みます。
京都大学附属図書館は、国文学研究資料館が実施する「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」(略称:歴史的典籍NW事業)に拠点大学として参加しており、今回公開した資料の電子化も本事業の一環として実施しました。
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