貴重資料をオープンアクセスにするには

京都大学が所蔵する古典籍資料を確実に保存し、研究者の利用に供することで、学術研究を支え、社会に貢献することは、京都大学図書館機構の使命の一つです。図書館機構では、古典籍にしるされた情報をより広く共有するための手段として、資料のデジタル化・公開を進めています。

みなさまにデジタル画像をインターネット上でご利用いただけるまでになるには、具体的には、以下の手順で作業を進めています。

事前調査

資料の重要度や利用頻度を考慮して電子化する資料を選び、物理的な状態や撮影分量を確認します。

(写真左から 電子化を待つ資料、調査の様子、貼り紙がある部分や修復が必要な部分に短冊を挟んだ資料)

 

資料の修復

資料に傷んだ部分がある場合は、適した方法で修復・保存手当を行います。修復には、裏打ち、漉き填め、糸綴じなど、様々な方法があります。修復を記録するため、修復前後の状態を撮影することもあります。

(写真左から 修復の様子、修復前、修復後)

修復前

デジタル撮影

資料に適した機材でデジタル撮影を行い、画像データを作成します。例えば大型の絵図などは、非接触型高精細大型上面スキャナーで分割撮影した画像を接合し、全面の画像を作成します。

(写真左から デジタルカメラ、デジタルスキャナ、非接触型高精細大型上面スキャナーによるスキャニングの様子

 

メタデータ作成

資料のタイトル、著者、製作年、形態など、資料の基本的な情報(メタデータ)を作成します。

(写真 メタデータの一覧)

インターネット公開

作成したデジタル画像とメタデータを、「京都大学貴重資料デジタルアーカイブ」に公開します。

(写真左から 京都大学貴重資料デジタルアーカイブの閲覧画面、メタデータ)

二次利用自由化

京都大学貴重資料デジタルアーカイブに公開しているデジタル画像の大部分は、特別な手続きを経ることなく無償で複製、加工、出版物・ウェブサイト・放送番組等への掲載収録を行うことができます(二次利用自由)。詳細は、コンテンツの二次利用について」をご覧ください。

(写真 『世界遺産二条城公式ガイドブック』に掲載された『二条御城中絵図』(附属図書館所蔵「中井家絵図・書類」より))

 

ご寄付のお願い

公開するまでには、資料の傷んだ部分を修復したり、細心の注意を払いながらデジタル撮影したり、大変な手間と費用が必要になるため、まだまだ多くの貴重な資料が書庫の中で眠っています。京都大学図書館機構では、必要な財源を確保するために、京都大学基金のプロジェクト支援基金の一つとして「京都大学貴重資料デジタルアーカイブ基金」を運営しています。詳細は、京都大学貴重資料デジタルアーカイブ基金をご覧ください。

 

【附属図書館 研究支援課 研究支援第二掛 2024/6/26修正】

Print